[基本的性質]
基本的性質(I)は,(1)式が,写像(あるいは関数)であることを 述べたもので,その定義域が n 次元ベクトル空間であることを示している. その写像が線形性を持っていることを示しているのが,(II) である.元来, 変換は,すべての x に対して変換先が指定されてなければ,確定 しないのであるが,線形性(II)があるため,著しく簡単になる.
[定理1] 線形変換は,定義域であるベクトル空間の基底の変換先
が定まれば,確定する.
<証> 2次元の場合を示しておけば十分である.
e1, e2 を R2 の基底とすると,R2 の
任意のベクトル x に対して,
とくに,
e1, e2 が標準基底
例
を負の方向に
この結果を,初等幾何学へ応用してみよう.
[命題]
ABC の2辺 AB,AC の上に,正方形を外向きに立てる.
M を DF の中点とすると
<証> A を中心とする
の回転を考える.
すなわち
<注> この命題は,中点連結定理の変形である.
図で,AC (点線) に鋏を入れ,
ACD を
回転
したものが,命題に他ならない.したがって,この結果は,証明する
までもなく自明である.プラマグプタの定理も同工異曲である.
さて,話をもとに戻そう.
[定理2] 原点のまわりに,
正方向に
だけ回転する行列を
とすると
<証>
この結果から,サインとコサインの加法定理が直ちに導かれる.
すなわち,原点のまわりに,
,
の回転を
続けて行うと,
の回転となるから,