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図3のように,二つのベクトル
a, b で作られる
平行四辺形の面積を
f(a,b)
と書くことにする.
面積の持っている基本的な性質を列挙すると
- (i)
- まず,図4のように,
まず,一辺が2倍,3倍,
となると,面積も2倍,3倍,
となる.すなわち
が成り立つことが分かる.
これは b についても同じである.
- (ii)
- 一辺が二つのベクトルの和であるとき,すなわち
a=a1 +a2 であるとき,
図5から分かるように,面積も和となり,
f(a,b) = f(a1,b) +f(a2,b)
が成り立つ.b についても同じである.
- (iii)
- さらに,a と b が一致すれば,面積が零となる
こと,すなわち
f(a,a) = 0
は明らかである.
- (iv)
- また,面積の単位としては,a,b が直交する
単位ベクトルのとき,例えば,i,j のとき
f(i,j) = 1
と約束するのは,当然であろう.
ただ,注意しておかねばならないことは,
となること,すなわち,面積に符号が付くことである.
以上をまとめると,
[面積の基本的性質]
- (I)
-
b についても同様.
は実数.
- (II)
-
f(a,a) = 0
- (III)
-
f(i,j) = 1,ここに
i, j は
標準基底.
となる.
この3つの性質によって,
f(a,b) の値は完全に定まってしまうのである.
事実,
とすると
となるからである.
この計算から分かるように,
f(a,b) は2次の行列式
に等しい.
次に3次元空間の体積について考える.
図6のような,3次元の3つのベクトル
a, b, c で
作られる,平行6面体:
の体積を
f(a,b,c) と書く.
このとき,面積の基本的性質と全く同様な次の事実が成り立つ.
[体積の基本的性質]
- (I)
-
が成り立つ.
b, c についても同様.
- (II)
-
a,b,c のどれか2つが一致すれば体積は
零となる.すなわち
など.
- (III)
-
i, j, k を空間の標準基底とすると
f(i,j,k) = 1が成り立つ.
<注> (II) は次の性質と同値である.
- (II)'
-
f(a,b, c) の中のどれか2つのベクトルを
入れ換えると符号が変る.すなわち
など.
この3つの基本的性質によって
f(a,b, c) は完全に定まる.
実際,
のとき,
f(a,b, c)
= f(a1i+a2j+a3k,b1i+b2j+b3k,
c1i+c2j+c3k)
これを,上の基本的性質を用いて変形していくと
= (a1b2c3+ a2b3c1+a3b1c2-a1b3c2-a2b1c3-a3b2c1)
f(i,j, k)
となる.
f(i,j, k)=1 であるから,
f(a,b, c) の値は完全に定まり,それは,
a,b, c から構成される行列式:
に等しくなる.
以上で見てきたように,面積,体積の基本的性質は行列式の基本的性質
そのものであり,この性質によって連立1次方程式
a x + by +c z = d
が解ける.すなわち
よって
ならば,
と解くことが出来る.y, z についても同様である.
<注> 連立1次方程式を解くだけならば,基本的性質の(III)は
不要である.上述の行列式の計算から明らかなように,(I)と(II)だけ
から
がでるからである.この定数は,
k = f(i,j, k)
すなわち,体積の単位である.
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Shiro Sawada
平成12年4月25日